きれいになることにしました(当社比)
どういう心境の変化かしかとは分かりませんが、ちょっと身なりに気を遣うことにしました。
うつ病などになると外見に構えなくなる人が多いらしいので、これも良くなってきたから生じる心の動きなのでしょうか。
外見に構わなかったのは服や化粧に興味がないのがいちばんの原因ですが、自分が女性であることにやや違和感があったのも影響していたかもしれません。
男性に性的な対象として見られる、というのも嫌なことでした。
カウンセリングで性別に違和感を持っていることを指摘され、長年のもやもやが顕わになり、しばらくはすごく落ち込みました。
でもおかげでいろいろ考えられて、好きなようにすればいいんだなって気がしてきました。
女であることを殊更嫌うこともないし、中途半端はだめってこともないんだな、というところに落ち着きました。
化粧をしたっていいし、女性という性の好きなところだけとっていってもいいんだなと思えたので、身なりを整えることに抵抗がなくなったのかもしれません。
自己肯定感が高まってきたというのもあるのではないでしょうか(期待)。
元々の素材が嫌いだったら、手をかけようとは思えませんものね。
自分が好きになってきたかと言われると微妙ですが、蛇蝎のごとく嫌うのではなく、健康な距離をとって、これはこれでまあありだな、と思えるようになりました。
年を取ってあまり人目が気にならなくなってきたというのも大きいです。
服や化粧道具には相変わらず興味が持てないのですが、限られた予算内で効果的な装備を揃えていくというのはおもしろそうだと思いました。
決まった予算として、来年度から新しく増える収入を身なりを整えるために使ってみることにしました。決めておかないと、どうせ使うなら本を買おうとかおいしいものを食べようとか思ってしまいますから。
一般的な女の子なら、わくわくして服を買ったりお化粧したりすると思います。
私にはその気持ちがなかったのでしなかったのですが、別のアプローチで同じことをすることもできるのだと分かりました。
もちろん情熱を持っている人ほど上手にはできませんが、見苦しくない程度には。
元気になってくると、苦手なこともできるのだなとうれしいです。
そんなことで先日化粧品屋に行ったら、そこの店員さんに眉を描いていないことを激しく責められました。
正直そこまで言わなくても…と思ったのですが(「最低限のマナーがなってない!」とか、「女は仕事はできなくてもいいから見た目を感じよくしないといけないんですよ!」とか)、なるほどそんなに気にする人もいるのかと納得して、練習を始めました。
ときどき描いてはみていたのですが、明らかに変になるからやらないことにしていました。
それでもこのままでは一生描けませんから、実家にいることを幸いに、変てこな眉を毎日描いてみました。
すると案外数日の内に、まあ違和感がないくらいには描けるようになりました。
眉を描いているんだぞ!と思うと、ちょっと一人前になったような気がします。
化粧品屋のおばさん様様であります。
そして別のお店で自称口紅番長の店員さんに口紅を選んでもらって、つけはじめました。
赤すぎると断ったのですが、番長はそれくらいを塗るべきだと。
チップで塗るタイプで、下手でも簡単につけられるので続けられそうです。
家族にも好評だったので、口紅も採用することにしました。
もしかして、このまま順調にいけば、今まで女性のみなさまから別の生き物のように扱われていた私も、素知らぬ顔で中に混じれるようになるのではないかと、わくわくしております。
私も化粧をきっちりしている人は別の生き物だと思っていたのですが、その境界は越えようと思えばあっさり越えられるものだったようです。
人類皆兄弟と思いました。