『積極的に考える』
本を紹介させてください。
ノーマン・V・ピール著、桑名一央訳『積極的に考える』です。
いわゆる自己啓発の類で、そういう本はちょっと胡散臭いと思うのですが、これは著者の人柄の良さがひしひしと伝わってきて心に響きました。
- 作者: ノーマン・V.ピール,Norman V. Peale,桑名一央
- 出版社/メーカー: 実務教育出版
- 発売日: 2004/09
- メディア: 単行本
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(私が読んだのは1972年版なので、少し違うところがあるかもしれません。)
現代はThe Power of Positive Thinking for Young Peopleです。
「ポジティブシンキング」は私の嫌いな言葉でして、今では悪いことから目を逸らすというようなニュアンスで否定的に使われることも多いと思います。お化けの話をするとお化けが来る、みたいな迷信じみた考えだと感じます。
この本の「積極的な考え方」はそういう恐れを含んだ態度ではなくて、本当に「積極的な」、勇気ある態度を選択することです。祈る勇気を与えてくれる本です。
基本的な考え方は、「あなたはあなたが考えるとおりのものである」ということです。常に最善を期待し、神に信頼して、心配することなく自分の力を発揮しよう、そんな感じです。
心で考えたことは実現する傾向にある、と著者は言っていて、そのため明るい考えを持つように薦めています。しかし思いが実現するというようなスピリチュアルっぽい内容は少なく、いま心を安定させて幸せになるためにどうすればいいかの具体的なアドバイスが多いです。
本全体が上手なやり方で一貫したメッセージを変奏しているので、通して読んだほうがずっと心に届くでしょう。
キリスト教的な考え方に基づいていて(筆者はメソジスト派の牧師です)、「神」や「祈り」といった言葉が多用されるので、キリスト教に馴染みのない読者には抵抗があると思いますが、それでも日本でかなり読まれているようです。
「神」は仏様でもご先祖でもお天道様でも、自分を助けてくれると信頼できる存在なら何に置き換えてもいいのではないかと思います。
「祈り」はもっと難しいですが、どういう風にしたらいいんだろう。一応第3章は「どのようにして祈ればいいか」という章になっています。キリスト教徒でも、ピール牧師の考える意味で祈っている人は少ないと思うので、祈るためにキリスト教徒である必要は全然ないと思います。
馴染みのある言葉に置き換えれば、基本的には昔流行った引き寄せの法則その他によく似ているので、簡単に理解できるはずです。
でも、引き寄せなどよりずっと気高いムードが本書には漂っています。そのキーワードは信頼だと思います。
自分の記憶の整理のために、この本を1章ずつまとめていこうと思うので、もしよければお付き合いください。
もっと具合が悪くて暗い考えしか浮かばなかったころは、明るい考え方をすれば事態が好転する!という本全般を憎悪していました。どうしたって明るくは考えられないので、そういう本は自分がなぜ不幸せかをご丁寧に説明しようとしてくれている嫌なものと感じました。明るく考えられないから困っていたのに。
今は元気になってきて自分の考え方を自分で選択できるようになったので、明るく考えようとアドバイスする本も受け入れることができます。
だから、とっても具合が悪い方にはこんな本を無理に薦めたりしないほうがいいと思います。明るい考え方ができないのが病気なのであって、それに責任を感じることになったらいけませんから。お薬や休養などでよくなったら、自然と明るいほうに目が向き始めると思います。